日医標準レセプトソフトを導入して
 

宮前平内科クリニック・有限会社ケアカルテ 及川 信


 
平成15年9月より宮前平内科クリニックにおいて,本格的に日医標準レセプトソフト(以下日レセ)を導入しました。旧レセコン(サンヨーメディコム)と同時稼動という形をとり,旧レセコンと同時入力しいろいろチェックしながら現在使用しております。9月分の国民健康保険診療分は日レセの方で請求してみましたが,一ヶ月使用してみての利点,問題点を私なりにまとめてみました。

まず日レセの1番の利点といえば,やはり安価なことでしょう。通常レセコンは各メーカーから購入すると,1台数百万円単位で販売されています。現に当院においても5年前に数百万円で旧レセコンを購入しています。しかし日レセでは1台30万〜40万円程度で購入可能です。極端なはなし独自に導入すると,市販されているパソコン本体の値段しかかからないのです。ソフトウエアは無料ですがインストールなどの作業にかなり手間がかかるので,ベンダから購入するのが良いと思います。本体価格が他メーカーより安価なうえ,日レセでは処方箋・レセプト用紙・領収書がA4のコピー用紙でプリントできる,特別な用紙は必要ありません。当院においても旧レセコンでは処方箋は1枚4円,レセプト用紙は1枚2円程度で購入していましたが,日レセでは市販のコピー用紙ですみますから1枚0.5円ほどですんでしまうのです。これはかなりの運用経費削減につながります。さらに日レセはフリーなソフトウエアですから,バージョンアップなどの時の負担がありません。すべて無料でダウンロードできます。いままでは改定があるたびに数万円支払いバージョンアップしていましたが,一切費用はかかりません。このように日レセは安価で購入でき少ない経費で運用していけるレセコンなのです。

次に先ほども言いましたが,フリーなソフトウエアなので,バージョンアップや新薬などの最新乃情報が簡単にダウンロードできます。今までですと当院においては新薬などの入力は薬価など調べて情報を手入力して使えるようにしていましたが,日レセでは日医総研のホームページより最新データをダウンロードするだけですぐに入力できるようになります。非常に便利です。こういった作業は実際ベンダの保守契約に入ってくると思いますので,なにもしなくても最新の状態で稼動していけるということです。

しかし残念ながら便利なことばかりではありません。一ヶ月しっかり使用してみるとやはり旧レセコンの方が入力しやすいところもあります。細かく言うといろいろありますが,そういったことをオルカサポートセンターに要望として届けると,すべてではありませんが要望を実装してくれます。つまり日レセはユーザーの声を聞いてどんどん成長していくソフトウエアなのです。もちろんこれは良い点です。私も去年から日レセにふれてきましたが,最初は使いにくそうで本当に導入できるか不安がありましたが,どんどん使い勝手が良くなり当院においても導入できたのです。これからもユーザーの色々な要望によりどんどん使いやすいレセコンになっていくのではないでしょうか。

導入するうえでの問題点もあります。当院で導入してみて一番大変だったことはデーター移行です。既存レセコンの頭書き,病名などのデーター移行はメーカーによって移行できないところもあるようですが,サンヨーは20万円程度でデーター移行してくれるということでした。しかし頭書きのみデーター移行が可能で診療内容,病名などは一切できないということでした。当院では各職員の練習もかねて9千件ほどあるデーターを手入力で移行してみたところ一月半ぐらいかかりました。かなり大変な作業ですから有償ではありますが,メーカーかベンダに依頼するのが一番でしょう。

導入してから大変なこともあります。先に述べたように頭書きのみのデーター移行なので,いままでDO処方していた患者さんの病名や処方を1から入力しなくてはならないことです。当院は内科なので比較的患者さんが少ない秋口を導入期にして正解でした。冬の患者さんが多い時期にレセコンを変えるのはかなり困難だと感じました。導入後1,2ヶ月は既存の患者さんのデーター入力にかなりの手間がかかるので導入時期の選択というのも大切になってくるでしょう。さらに保険証が変更になっている人や入力ミスなので頭書きが違っているひとが結構いました。日レセ導入後は保険証確認には細心の注意が必要です。

次に日レセは基本的に日本全国で使用できるよう作られていますから,請求書の様式が神奈川県の様式とは少し違いがあります。当院ではとりあえず,請求書は手書きで提出しておりますが,カスタマイズすることによって様式を変更すれば印刷による提出も可能です。以前は地方公費にも問題がありましたが,かなり整備され現在は特に問題もないようです。請求作業でもうひとつ気になることは明細書の集計にかなり時間がかかることです。旧レセコンのほうがかなり早く集計ができます。一度明細書に変更入力をすると全部の集計をやり直さなくてはならないので,集計に時間がかかるとすこし不便です。しかし多少気になるくらなのでさほど問題はありません。

最後に,実際日レセを導入してみて総合的には利点の多いレセコンではないかと感じました。まだ一月余りしか稼動していないので,これから問題もででくると思います。しかし充分やっていけると思います。レセコンの変更を考えてらっしゃる先生方がいらっしゃいましたら,日レセの導入を検討してごらんになってはいかがでしょうか。当院でもケアカルテという有限会社を設立しておりまして,日医の認定事業所でもある川崎インターネットと企業協力して日レセを販売し普及させるお役に立ちたいと考えております。日レセに興味をもたれましたら,お気軽にご相談いただきたいと思います。どうぞ宜しくお願い致します。

平成15年10月27日